なかなか収まってくれない新型コロナですが時間と共に新型コロナと洗濯について色々な事がわかってきました。今回は現段階(2020年5月)で私が知りうる限りを書いてみようと思います。少し長くなりますがお付き合い下さい。
◼家庭洗濯で新型コロナは除去出来るのか?
気になるのは家庭での洗濯によって新型コロナウィルスをしっかり除去出来るのか。という所だと思います。厚生労働省が「新型コロナウィルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項」という資料を発表しており、その中で感染された方の衣類は一般的な家庭用洗剤で洗濯し、完全に乾かして下さい。とあります。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)も同じ見解で感染者の方の衣類と一緒に他の方の衣類を洗っても問題ないとまで言っていることから、いつも使っている界面活性剤が入った洗剤で洗濯し、完全に乾燥させれば感染力を失わせるほど新型コロナを除去出来ると考えていいと思います。
◼北里研究所が新型コロナを
不活化する市販品を発表
※出典:北里研究所プレスリリース
先日、北里研究所が新型コロナウィルスを不活化する効果のある市販品を発表しました。不活化とは感染性を失わせるということです。リンクをクリックして資料を見れば分かるのですが洗濯に関する製品だけではなく、手指の洗浄、拭き取り洗浄の製品も記載されているのでアルコールスプレーなどの除菌剤が手に入らずお困りの方は参考にしてみて下さい。様々な用途の製品が記載されているので使用の際にはそれぞれの使用用途以外には使わないように注意が必要です。
◼ワイドハイターEXパワー[液体]を使ってマスクを洗ってみます。
ワイドハイターEXパワー[液体]
(以下ワイドハイター)も北里研究所の資料によると新型コロナを不活化出来るということなので早速、1日使用したマスクを洗ってみようと思います。作業場所は洗面所です。手洗いついでに洗っちゃいます。
※メーカーは使い捨てマスクの洗っての再利用を推奨していません。
資料によると100倍希釈、10分漬けることで新型コロナを不活化したという事なので990mlのぬるま湯に10mlのワイドハイターを入れ(この分量で100倍希釈になります。)10分間漬け込みます。
10分たったらそのまま洗濯洗剤(液体が使いやすい)を投入し優しく押し洗いします。量はお使いの洗剤の使用量を参考にして下さい。肌の弱い方は炊事用手袋をつけるといいと思います。
洗浄液を捨て、ぬるま湯ですすぎます。直接肌に触れるものなので成分が残らないよう、入念すぎるほどにすすぎます。蛇口から水を流しながらすすぐ流水すすぎがオススメです。
軽くしぼります。
清潔なタオルで軽く押して脱水します。
乾燥させます。ゴムが伸びてしまうので本体を洗濯バサミでとめます。
完成です。
布製のマスクも同じやり方でOKですが柄物や色物は色落ちの可能性が0ではないので目立たない所で試してからやってみて下さい。銀イオンが使われているマスクもやめた方がいいです。
同じ要領で普段の洗濯にも応用が出来ますね。ワイドハイターで10分漬け込んでから洗濯洗剤で洗濯すれば安心感が違います。資料にあるアタックzero
を使えばさらに安心出来ますね。
投入するワイドハイター、洗剤の量は
お使いの洗濯機の大きさによって変わってくるので[洗剤の希釈方法]で検索し正しい量を調べてみて下さい。色が出そうな物、チャックなど金属が使われている物、含金染料が使われている物のワイドハイターでの漬け込みは避けて下さい。
ちなみに今回使ったワイドハイターを100倍に希釈した洗浄液をボトルに詰め替え洋服や手指にスプレーすることはNGです。ワイドハイターはある程度の時間漬け込み、水でしっかり洗い流して使うのが大前提です。
◼頻繁に洗えない衣類はどうするか?
最近はすっかり暖かくなりコートやマフラーを着用する機会はほぼないですが、それでもスーツやジャケットなど
なかなか頻繁に洗えない衣類を着用する機会がある方もいらっしゃると思います。現段階で考えられる対策として
①アルコールスプレーを噴霧
※無水エタノールは原液ではなく水で
薄めて使用します。
ご存知の通りアルコールスプレーは新型コロナウィルスへの効果が実証されています。まれに色落ちなど衣類にダメージを与えることがあるので目立たない所でテストをしてから使用するといいと思います。
草木染めの衣類はアルコールスプレーで色が動きますので注意が必要です。
②市販の除菌スプレーを使用する
出典:花王
リセッシュ除菌EXプロテクトガードは
先ほどの北里研究所の研究で新型コロナの不活化に効果があると証明された商品です。使えない衣類もあるようなので裏面の注意事項をよく読み使用して下さい。
③次亜塩素酸水を噴霧
次亜塩素酸水は新型コロナに対する効果は実証されていませんが効果がある可能性が高いと言われています。
現在、次亜塩素酸水の新型コロナに対する効果を経済産業省の依頼を受けたniteという機関が調査中です。
次亜塩素酸水は使用に際して少々複雑なところがあるのでご自分で良くお調べになるか、私に直接お問い合わせいただいても大丈夫です。
衣類に対する使い方や注意点は以前
次亜塩素酸水とは?で記事にしていますのでよかったら参考にしてみて下さい。
※6月2日追記
5月29日に経産省所管の独立行政法人
製品評価技術基盤機構(NITE)が
WHOの見解を引用し、有人空間での消毒剤の噴霧(スプレー含む)は推奨されないと発表しました。
https://www.nite.go.jp/data/000109500.pdf
この文章から判断すると①~③をスプレーすることは推奨されないということになります。
推奨されない理由は消毒液噴霧による人体への安全性を証明する評価方法が確立していないから。スプレーして使用した場合、安全かどうか証明されていないので出来ればスプレーしないでということです。
アルコールに関しては手指の消毒に使える訳ですから大丈夫と思ってしまいますが吸い込んでしまった時の安全性となると?なようです。
①~③が推奨されないとなると普段洗えない衣類のコロナ対策はなかなかハードルが高くなりますが①~③を自己責任で触れたり吸い込まないような対策をして使用するか、クリーニングに出して頂くのが考えられる対処法だと思います。
(ドライクリーニングのコロナに対する効果は証明されていませんが脂を良く落とすドライクリーニングはエンベロープという新型コロナの持つ脂肪の膜を破壊して洗い流し、さらに乾燥機やアイロンの熱を加えることで除去出来るのではないかと考えられています。)
※6月29日追記
6月26日に経産省所管の独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が次亜塩素酸水は新型コロナの消毒に有効であると発表しました。ただし、効果的に消毒するには条件があり
1.対象物の汚れをあらかじめ落としておく。
2.充分な量を使用する。(ヒタヒタになるくらい)
3.20秒以上時間をおき拭き取る
4.掛け流しではなく拭き掃除等で使用する場合は有効塩素濃度
80ppm以上で使用する。
とあります。
以上の4つの条件から判断すると次亜塩素酸水を新型コロナ対策として衣類に使用するのは控えた方がいいと個人的には考えています。特に4の80ppm以上の次亜塩素酸水を衣類に使用すると色落ちの可能性が高まります。頻繁に洗えない衣類のコロナ対策は①のアルコールスプレーや②の市販の除菌スプレーを吸い込まないように使用するのがいいと言えそうです。
https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626013/20200626013-4.pdf
④紫外線に当てる?
先日、紫外線が新型コロナウィルスを急速に不活性化させるとアメリカの政府高官が発表しました。ただ肝心の論文が発表されていないなど確実に効果があるのかは不明です。
衣類を紫外線に当てる場合は変色しやすい衣類があるので注意が必要です。
ナイロン製の衣類は特に紫外線で変色しやすいと言われています。
今回は少し長くなってしまいましたが新型コロナと洗濯について書きました。最初のうちはまだまだ分からないことが多く、あたふたするばかりでしたがだんだんとその正体が見えてきました。
「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」
正しく敵について知り冷静に行動することがより早い収束に繋がるのだと思います。
:参考サイト
厚生労働省 8つのポイント
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf
アメリカ疾病予防管理センター
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/cleaning-disinfection.html
北里研究所プレスリリース
nite
https://www.nite.go.jp/data/000108034.pdf
AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3280112?cx_amp=all&act=all