今回はお客様より依頼のあった、バーバリーのワンピースの汗染みを除去します。外側は汗染みはそこまで目立ちませんが内側を見てみると、
このように汗が黄色くシミになっています。汗のかきやすい脇、首周りが特に目立ったシミとなっています。この状態は汗が酸化して頑固なシミになっているので通常のクリーニングでは落としきれません。範囲が広いので全体を漂白剤に漬け込んでのシミの除去が必要となります。
漂白剤に漬け込んでのシミの除去。
一見簡単そうに思えるのですが今回はそう簡単にはいきません。
問題はその繊維組成。
・指定外繊維(レクセル)
・綿
・シルク
レクセルは別名テンセルまたはリヨセルというとご存知の方もいらっしゃるかもしれません。長くなるので今回は詳しい説明は省きますがデリケートで扱いに注意が必要な高級繊維です。
シルクもまたデリケートな高級素材ですのでさすがはバーバリー。
これを綿の白いシャツを漂白するように強い漂白をしてしまうと衣類にトラブルが起こりそうだなと何となくご想像頂けると思います。
今回はデリケートな繊維を守りつつ、シミのみを除去するという微妙な匙加減が必要とされる高度なミッションとなります。
それでは実際に作業にうつります。
今回の作業で使われている素材以外にも壁となるのが水洗い×の洗濯表示。
今回の作業は水に溶かした漂白剤に衣類をつける作業なのでこの表示の指示に従えないこととなります。
このお品物を水につけることで起こるリスクとして考えられるのは
①縮み
②色落ち
③型崩れ
これを防ぐ為に防縮、移染防止、型崩れ防止剤の入った特殊な洗剤を最初に投入します。
いよいよ漂白剤への漬け込みの準備に入ります。
先程書いた通り、今回はデリケートな高級素材がお相手。
その素材を傷めない漬け込み液の温度、漂白剤の濃度、漬け込む時間の調整が最も重要な作業となります。
温度計で温度をはかり、漂白剤の濃度を調整して万全の体制を整えます。
体制は万全ですので安心して一定時間漬け込みます。
漬け込みが終わったら濯ぎの作業です。濯ぎもただ水で濯ぐのではなく
漂白剤によりアルカリが残ってしまう可能性があるので中和剤を投入し、濯ぎます。その後、短時間脱水をして終了です。
キレイになりました。
before
アイロンをかけて完成です。
写真では分かりにくいですが表面も全体に色のくすみがあったのですがキレイになりました。
よく汗をかく夏用のワンピースは今回のような汗染みが起こりやすいです。
スッキリ蘇ったワンピースと共に来年の夏のお出かけを楽しんで頂けそうです。