リュック、バッグ

グレゴリーのポーチの劣化したコーティングを除去する

中学生のころだったでしょうか。キャンプで使おうと押入れの中から久々に引っ張り出したリュックから変な臭いが。恐る恐る中を触ると何だかベトベトしている。さらには手に何かのカスのようなものが付いている。純朴な少年がたいそう戸惑ったのは言うまでもありません

当時の私は気づかなかったこの変な臭い、ベトベト、カスのような物の正体は雨など水の侵入を防ぐためにバッグの内側に加工されたコーティングが劣化したもの。

一見もう使い物にならなさそうですがコーティングが劣化しているだけなので元の生地が元気であるならばそのコーティングを除去してやることで再び現役バリバリで使用することが可能です。

ということで今回は写真のグレゴリーの劣化したコーティングを除去してカムバックさせます。今回の記事に登場するグレゴリーは私のものではなく約3年前に書いたつたない記事を読んでくだったお客様からご依頼のものとなります。思い出のお品物でこれからも長く使っていきたいとのお話を伺い私、スイッチが入っちゃいました。いっちょ気合を入れて頑張ります。

バッグの内側のベトベトの正体はコーティングの劣化です写真のようなバッグやリュック、内側がこのようになったことありませんか? 一見カビに見えますが防水の為にバッグの内側にほどこされたコ...

コーティングの寿命は3~5年

ご依頼のグレゴリーの内側はこんな感じです。コーティングが剥がれ、ベトベトし若干の臭いが発生しています。このポーチに使われているタイプのコーティングは空気中の水分と反応して劣化していきますのでどんなに気を付けて使っていても、保管に細心の注意を払っていてもいつかは必ず劣化しポロポロと剥がれ始めます。大体3年~5年が寿命と言われています。

重曹に一晩漬け込む

そんなちょっと厄介なコーティングの除去には重曹を使用します。重曹のアルカリでコーティングの劣化をあえて促進させて剝がれやすくしてやろう作戦です。

40℃のお湯3ℓに重曹を50g投入。一晩漬け込みます。グレゴリーの製品はチャック部分に革製の持ち手が付いていることが多いです。付いている場合は必ず取り外しておきましょう。

重曹のアルカリにより色が出るなどのトラブルが発生する可能性があります。アウトドアメーカー製のバッグは比較的色の出にくい素材が使われている場合が多いですが心配な場合は目立たないところでテストしたり、メーカーに問い合わせるなどしてください。

一晩漬け込み後です。コーティングの色が染み出てきていますね。

洗い

漬け込み終了後重曹のアルカリを除去するために1度ポーチを洗います。40℃のお湯に液体の中洗洗剤を適量投入し優しく押し洗い。洗濯機でガシガシ洗いたいところですが型崩れを防ぐために押し洗いをおススメします。

お湯を入れ替え、泡が出なくなるまでしっかり濯ぎます。

タオルで脱水。

日陰で自然乾燥。

乾燥終了後です。いかにもポロポロと剥がれそう。これは意外と1発で全部取れちゃうかも?

ブラシでコーティングを除去

重曹に漬け込んだ事によりすっかり剥がれやすくなったコーティングをブラシを使って払い落します。極端に固いブラシは生地を傷つけてしまうので使わないほうがいいです。ブラシがない場合は台所用スポンジのザラザラの部分で生地を傷つけないよう優しく払っても良く取れます。果たして1回でキレイに全部取れるかな?

ああ、やっぱり、、。

こういうしぶとい奴がいるんです。

このコーティング除去の難点はすでに力尽きたコーティングとは別にまだ微妙に元気なコーティングが存在すること。剥がれそうで剥がれない絶妙な強さでしっかり生地にくっついているのでブラシでこすろうがクリーニング屋必殺の染み抜き機を使おうがビクともしないのです。

漬け込み→洗い→ブラシ

残った厄介なコーティングは今まで行ってきた工程、「漬け込み→洗い→ブラシ」を根気よく繰り返し時間をかけて除去していくしかありません。

2回ほど漬け込み→洗い→ブラシを行いやっとのことでコーティングはほぼ除去出来ました。チャックの裏などに非常に小さなコーティングが残っていますのでガムテープを使い除去してあげます。

コーティングの除去完了です!

しかし、、。

痛恨のキレイになった後の写真を撮り忘れました、、、。

before

以前の記事のbefore-afterでご容赦下さい。今回もこれ並にキレイになっております。

仕上げに防水スプレー+アイロン

最後に仕上げの作業を少々。コーティングを除去したことにより水を防ぐ力が弱まっているので防水スプレーを噴霧し、低下した機能を補います。シリコン系の防水スプレーを使用しています。

小雨くらいなら何とかしてくれそうですね。あくまで応急処置、コーティングほど水を防ぐ力はないのでご容赦を。

アイロンでシワを伸ばし、形を整えます。防水スプレーのパワーをUPさせる効果もあります。

完成です!

完成写真も撮り忘れました、、。昔から詰めが甘いとよく言われますm(__)m

写真撮り忘れという痛恨のミスをやらかしてしまいましたが仕上がりには満足していただきブログへの掲載も「私と同じような状態でお困りの方に伝われば。」と快く承諾いただきました。

復活したグレゴリーと共にまたたくさんの思い出を作っていただけたらと思います。