洗濯石鹸

【肌と環境に◎】洗濯石けん「そよ風」を洗濯屋が初体験してみた

今回ご紹介の「そよ風」は2024年3月に販売終了となったようです。

お気に入りだったのに残念、、。

https://miyoshisoap.co.jp/blogs/news/2023-12

今回は写真の「そよ風」を深掘りします。

CMなどのメディアではほとんど目にしない洗剤ですが、大きなスーパーやドラッグストアなどで目にして気になっていた方も多いのではないでしょうか。

もしかしたら「洗濯用の洗剤」であるという事を今日まで知らなかった方もいらっしゃるかもしれません。

下の方にちっちゃく「洗たく用」って書いてあるだけですからね(^^;)

パッケージや字体から何やらやさし~い雰囲気はプンプンするのですが果たしてどんな特徴がある洗剤なのでしょうか?

洗濯洗剤戦国時代をしぶとく生き残っている洗剤ですからきっと選ばれる「何か」があるはずです。

さっそく見ていきましょう。

ちなみに私、洗濯屋にもかかわらず石けんによる洗濯は初めての体験でございます。

そよ風は洗濯用の『石けん』(粉末)

「そよ風」の特徴と言えば何と言っても洗濯用の『石けん』である点でしょう。

大雑把に言えば手を洗う時に使うあの『石けん』を洗濯用に粉状にしたものが「そよ風」です。

『石けん』を主成分にした洗濯用の洗剤なので写真のように品名にはちゃんと『洗濯用石けん』と表記されていますね。

普段CMでよく見るアタックなどの洗剤にも『石けん』が含まれていると考えている方も多いかもしれません。『石けん』は汚れを落としてくれる物の代名詞ですからね。

しかしながらそれらの洗剤には『石けん』が含まれていない事がほとんどです。

写真は使っている方も多いであろうアタックゼロの裏面の表示です。成分を見てみるとどこにも『石けん』の文字はありませんね。

当ブログでも今までに11種類もの洗濯用洗剤をご紹介してきましたがその中に『石けん』を成分に含んでいるものは1つもありません。

『石けん』が主成分の洗濯用の洗剤って実はかなり珍しいんです。

ちなみに『石けん』が主成分ではない洗濯用洗剤の事を『合成洗剤』と言います。よく聞く「アタック」「アリエール」「ナノックス」などの洗剤はすべて『合成洗剤』です。

メリット・デメリット

「そよ風」は『石けん』を主成分にした洗濯用洗剤であり、結構レアな商品である事が分かりました。

『合成洗剤』ではなく『石けん』で衣類を洗う事にどんなメリット、デメリットがあるのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

メリット ①~③はミヨシ石鹸HPより

①肌にやさしい

=石けんは天然由来の成分で製造されているので肌に優しいと言われています。敏感肌の方やまだ肌の弱い赤ちゃんの衣類を洗いたい方には嬉しい特徴ですね。

②環境にやさしい

=石けんは合成洗剤と比べて自然界で分解されやすいとされています。これも天然成分由来であることが理由のようです。

③柔軟剤なしでフワフワ

=石けんを使った洗濯では柔軟剤を使う必要がないと言われています。私も実際に石けんを使って洗濯をしてみましたが、確かに柔軟剤を使わず合成洗剤で洗った時より衣類のゴワ付きは軽減しました。

④泥汚れが良く落ちる

=これは経験上の感覚ですが合成洗剤に比べて『石けん』は泥汚れを良く落としてくれると思います。

特に固形タイプの洗濯用石鹸は靴下やユニフォームなどの泥汚れを落としたい時についつい頼りにしちゃいます。有名なウタマロ石鹸もその名の通り『石けん』が主成分ですよね。

デメリット

①水に溶けにくい

=これが石けんの最大のデメリットではないでしょうか。石けんは合成洗剤に比べ、とにかく溶けづらい。(汗)

洗濯では最低でも20℃の水温が必要とされています。夏場はギリギリ大丈夫かもしれませんが冬場はお湯を使ったり、前もって石けんを溶かすなどの一手間が必要となります。

②石けんカス(金属石けん)が発生しやすい

=金属石けんとは水道水中の金属イオンと石けんが結びつき発生する白いカスの事を言います。こいつが発生してしまうと、洗濯後の衣類が白いカスまみれになったり、カビや雑菌が繁殖しやすくなったりと良い事がありません。

この石けんカスを防ぐ為にはアルカリ剤を使用したり、柔軟剤代わりにクエン酸を使ってやる必要があります。

③高コスト

=製造に手間がかかる事から石けんは洗濯1回あたりのコストは合成洗剤に比べ高めです。

④一部の洗濯機では使えない可能性がある

=一部の洗濯機では『石けん』を使う事を推奨していない事があるようです。特にドラム式の洗濯機に使えないものが多いとか。メーカーに問い合わせるか説明書を改めて読んでから使用する必要がありますね。

いかがでしょう?

デメリットの方が目立ちますね^^;

『石けん』を使った洗濯は『合成洗剤』を使った洗濯より手間がかかり、扱いにはコツが必要です。

言ってしまえば使い勝手が悪いんですね。

洗浄力に加え、時短、コスパが求められる現代の洗濯事情。なぜ合成洗剤が店頭で幅を利かせているかよく分かりますね。

洗えるもの・洗えないもの

お次は「そよ風」でどんな衣類が洗え、洗えないかを見ていきましょう。

製品裏面の用途、液性、成分+ピンクの□内の表示を読み解くと何が洗えて、洗えないかを知る事が出来ます。

用途

綿・麻・合成繊維が洗えるとあります。

合成繊維とはポリエステル、ナイロンなどの化学繊維を意味します。

毛(ウール)や絹(シルク)などのデリケートな繊維は「そよ風」では洗わない方がいいでしょう。

液性

液性は「弱アルカリ性」。

「弱アルカリ性」は洗濯洗剤の中では洗浄力が高い部類に入ります。衣類へのダメージが大きいのでここからもウールやシルクなどのアルカリに弱い繊維は洗わない方が良い事が分かります。色落ちの心配がある濃色の衣類の洗濯も色落ちテストをしてからした方が良いですね。

>色落ちテストのやり方はこちら

成分

成分はアルカリ剤(炭酸塩)に注目です。アルカリ剤は洗浄液をアルカリ性に保つことによって洗浄力を高めてくれる成分です。

ここからもアルカリに弱いウール・シルクは洗わない+濃色の衣類の洗濯には注意が必要なことが読み取れます。

先ほど触れた石けんカスの発生を防いでくれる効果のある成分でもありますね。

>洗濯洗剤の成分について詳しくはこちら

ピンク□

最後はピンク□。

上の洗濯表示のある衣類は洗わない方がいいでしょう。

意味は「家庭での洗濯禁止」ですので当然ですね。

ゴチャゴチャしたのでまとめます。

まとめ

「そよ風」は

①綿・麻・合成繊維(ポリエステルなど)が洗える。

②弱アルカリ性なので濃色の衣類の洗濯には注意が必要。

=ウール・シルクは洗わない。

③下の洗濯表示がある衣類は洗わない。

普段使いの衣類(Yシャツ、タオル、下着など)を洗濯機の普通コースでガンガン洗う時に使う洗剤と考えると分かりやすいでしょうか。アタックやナノックスなどスタンダードな洗剤の代わりに使える洗剤です。

「そよ風」の使い方

お次は「そよ風」の使い方のご紹介です。ここが気になっている方も多いかもしれません。

基本の流れは合成洗剤と変わらない使い方なのですが、それぞれの工程に少し手間とコツが必要となります。

部屋干しトップなどの粉末弱アルカリ洗剤を使用した事のある方なら比較的スムーズに使い方が頭に入ってくるかもしれません。

詳しく見ていきましょう。

40℃のお湯でしっかり溶かしてから使う

繰り返しになりますが洗濯用の『石けん』はとにかく溶けづらいです。

40℃のお湯を洗濯機にため「そよ風」を適量投入、棒のような物でかき混ぜてしっかりと溶かしてから衣類を投入するようにするといいでしょう。

お湯はお風呂場や洗面台などの給湯ができる蛇口からホースを使って供給する方法がベストです。

ホースでお湯を用意するのが難しい場合は小さなバケツのような物にお湯を入れ、あらかじめ「そよ風」を溶かしておく方法でも大丈夫です。

常に泡立たせておく

お湯に「そよ風」を溶かし衣類を投入したらスイッチポンで洗濯開始です。普段使いの合成洗剤の代わりに使う洗剤ですのでコースは普通コースでいいでしょう。

合成洗剤であれば洗濯機が止まるまで放置で問題ないのですが石けんの場合は少しの間様子を見ておく必要があります。と言いますのも、、。

洗濯開始後2,3分でこんな風になっちゃうことがあるんです。(高確率)

泡が全く立っていませんね。

何となく想像出来るでしょうか。実は泡が立っていないこの状態、洗浄力ほとんどありません。(汗)

石けんは泡立っている事がしっかり汚れと戦ってくれているかを見分ける目安です。洗浄中に極端に泡が少なくなったら追加で洗剤を投入し、洗浄力を復活させてあげましょう。

洗濯開始から5分くらいは泡の様子を観察してあげるといいですね。

すすぎは2回

石けんの溶け残りを防ぐ為「すすぎ」は1回ではなく2回に設定することも大事なポイントですのでお忘れなく。

柔軟剤代わりにクエン酸を使用

石けんはそれ自体に衣類をフワッと仕上げてくれる効果があるので柔軟剤を使う必要はありませんが、代わりにクエン酸を水で10倍に溶かしたもの(クエン酸水)を使用することをオススメします。

クエン酸には石けんカスを除去する効果がある+さらに衣類をフワフワにしてくれる効果がある為です。

石けんカスは石けんでの洗濯で発生しやすい白いカスのことでしたね。

「そよ風」は炭酸塩を配合してあるので石けんカスが発生する確率はかなり低いのですが100%ではありません。万が一で発生してしまった石けんカスを溶かしてなかった事にしてくれる優れものがクエン酸です。

クエン酸水の作り方は超絶簡単です。

500mlのペットボトル分のクエン酸水を作りたければ500mlの水に50gのクエン酸を投入して混ぜるだけでOKです。

クエン酸のグラム数の10倍の水で溶かせばいい訳ですね。

何か適当な容器に作り置きしておけば毎回作る手間が省けて便利です。

クエン酸水の保存期間は1~2週間程度と言われています。ご自身の洗濯頻度に合わせてクエン酸水を作る量を調節してみて下さい。

完成したクエン酸水は柔軟剤の投入口に注いで使用します。

石けんカスは発生して衣類に残ってしまうとティッシュを洗濯機で洗ってしまった時のような見た目になり、中々の精神的ダメージを与えてきます。

この一手間でほぼ目にすることはなくなると思いますので、面倒ですが是非ともお試しを。

またもやゴチャゴチャしました。まとめます。

まとめ

「そよ風」を使う時は

①40℃のお湯でしっかりと溶かしてから衣類を投入、洗濯スタート。

②最初の5分はしっかり泡立っているかを確認。→泡が消えたら追加で投入。

③すすぎは2回に設定。

④柔軟剤の投入口にクエン酸を注入。

まとめてみると意外とシンプルですよね。当然合成洗剤の手軽さには敵いませんが、、。

私だったらこんなものを洗います

「そよ風」について盛りだくさん過ぎるほど知識をご紹介してまいりました^^;

今までの知識を踏まえ私だったらこんなものを洗います。

①当然汚れているタイル

②エリの皮脂汚れが気になるポロシャツ

③濃色の綿100%ズボン(色落ちテスト済)

④綿100%スウェット上

⑤綿100%濃色スウェットズボン(色落ちテスト済)

靴下や下着を洗ってもいいですね。

濃色の衣類の洗濯には注意が必要ですが絶対に洗えないという訳ではありません。意外と洗えるものも多いと思いますので色落ちテストをした上で大丈夫そうであったらガンガン洗ちゃってください。

洗浄力

最後は「そよ風」の洗浄力を見ていきましょう。

ファンデーションは油汚れ=「皮脂」

卵はたんぱく汚れ=「食べもの」

カレーは色素汚れ

を想定しています。

ちなみに洗浄力については各ご家庭で洗濯の条件が異なりますので参考程度にお考え下さい。

果たして『石けん』の洗浄力やいかに。

洗い方についてはもう説明はいらないかもしれませんが念のため。

40℃のお湯で「そよ風」を溶かし衣類を投入。洗濯機の普通コースで洗濯しています。

すすぎは2回、柔軟剤の代わりにクエン酸水を使用しています。

泡の観察も忘れません。

果たして結果は、、?

うん!いい感じです。

黒いシミはマジックが滲んだものです。見えづらくてすみません。

ファンデーションが若干残っているのが気になるところですが、たんぱく汚れ、色素汚れは合成洗剤並みに良く落としてくれています。

これはあくまで個人的な見解ですが液体弱アルカリ洗剤アタック抗菌EXと同じくらいの洗浄力と言った感じでしょうか。粉末の弱アルカリ洗剤よりは少し洗浄力が弱い印象ですね。

とはいえ普段の洗濯に全く問題のない程度の洗浄力がある洗剤と言えるでしょう。

ちなみに石けんカスの発生はありませんでした。

[まとめ]扱いはやはり少し面倒。個人的にはストライクな洗剤

いかがだったでしょうか。長い時間お付き合いいただきありがとうございました。

興味のある物の記事がついつい長くなってしまうのは悪い癖です。

『石けん』を主成分とする「そよ風」は合成洗剤に比べ使い勝手が悪いというデメリットがありつつも、肌や環境にやさしく、洗浄力も申し分ない洗剤である事がわかりました。

時短が重視される今の時代、わざわざ余計な手間をかけてまで「そよ風」を使おうという選択肢はあまり現実的ではないのかもしれません。

しかしながら私、しばらく「そよ風」を自身の洗濯に使ってみようかと考えています。

「大容量の物を買ってしまったので使わないともったいない」「肌が弱め」という理由も勿論あるのですが、最大の理由は「そよ風」の香りが気にいちゃったんです。

パッケージ表面にひっそりと書かれているこの「微香」の香料+石けん本来の香りのミックスが強すぎず、弱すぎずで個人的に何ともちょうどいい感じなのです。

「市販の合成洗剤はなーんか刺激が強い感じがするんだよな。」

という私のような方はきっと「そよ風」を同じように気に入ってもらえると思います。

「そよ風」は使われている成分も香りも全体的に「やさし~い」です。

合成洗剤の手軽さを取るか、「そよ風」のやさしさをとるか。

私はしばらくの間やさしさを優先してみようと思います。