今回はお客様からご依頼頂いた事例のご紹介です。写真は言わずと知れた高級ブランドHERNOのダウンで表地がベルベットのお品物。このベルベット、独特の光沢と手触りが特徴の起毛素材ですが水に濡れてしまうと、、。
このようになることがあります。
シミに見えますがこれはシミではなく水により水のついた部分の毛が寝てしまい、光の具合でシミのように見えてしまっているものです。細い繊維が使われている起毛素材やシルクの着物などに見られる現象です。
今回はこいつ(通称 水ジミ)のダウンを修復します。
写真は水ジミの部分を下から撮影したものです。見ての通り水ジミはほとんど見えません。ということは、、
ベルベットの毛が赤矢印の方向に寝ていると考えられます。お客様によると雨に濡れてしまったとの事なのでついた雨粒が重力によって下に落ちていく時に毛を寝かせてしまったのでしょう。これがわかればこっちのもの。
青矢印の方向に毛を戻してやればいいわけです。
わかりづらい写真になってしまいましたがダウンの下から蒸気を吹き上げています。生地に蒸気を通してやることによりある程度毛が起き上がり、同時に毛が動きやすくなるので元に戻しやすくなります。
動きやすくなった毛をデリケート衣類用のブラシを使って元の方向に戻してやります。周りとのバランスを見つつ吹き上げてはブラシを繰り返します。
バッチリ元に戻りました。
今回はベルベットの水ジミを修復しました。ベルベットは高級品に多く使われる素材で非常にデリケートな為そのケアには細心の注意が必要となります。ご紹介したように水に弱い生地ですので水洗いも出来ません。メンテナンスをお考えの際はクリーニング店にご相談下さい。