色修正シリーズが続きます。なぜか毎年この季節は「色修正したいスイッチ」が入ります。
今回は写真のパタゴニアのナノパフを市販の染料を使って染めてみます。
釣りに、キャンプに、仕事、さらにはプライベートまで「これしか持ってないの?」ってくらいに1年中着倒しているアイテムですので、、。
さすがに全体の赤みがかった変色が気になってまいりました。全体的に色も落ちている感じです。
この全体の赤みと色あせを市販の染料を使い自分で染めて消してしまおうという訳です。
はたしてうまくいくのでしょうか?さっそく作業開始です。
リスクを確認
作業に移る前に今回作業をする上でナノパフに発生するかもしれないリスクについて考えたいと思います。
といいますのも今回の作業では染め液の温度を90℃まで上げる必要があるんです。高温は製品に思わぬダメージを与えてしまいますからね。プラスチックなんかは溶けはしないものの変形してしまうほどの温度です。
高温でダメージを受けそうな素材は使われているのかな?
もちろん使われている訳です、、。
その名も「プリマロフト®」
「人工ダウン」と言えば分かりやすいでしょうか。ダウンの構造を参考に作られた超微細マイクロファイバー素材です。
ナノパフにはこの「プリマロフト®」が中綿に使われています。
『超微細マイクロファイバー』
ものすごく雑に言えば極細のプラスチックが中綿に使われている訳です。高温により間違いなく何らかのダメージは受けるでしょう。具体的には中綿のボリュームの低下、保温力の低下などでしょうか。
さてさて、この大きすぎるリスクを受け入れ作業を行う覚悟が私にはあるのでしょうか。
「、、、、。」
やっちゃいます!!
皆様はくれぐれも真似をなさらぬよう。
下準備
作業前にもう一手間。タグも一緒に染めてもいいですが、そのままの色が好みなので外しておきましょう。
取っ手部分も外せますので外しておきます。
タグを外すと、どれだけ変色しているかが良く分りますね。
染め
前置きが長くなりました。いよいよ染めの作業の開始です。
染めには写真の「ポリエステルダイ」を使用します。
ナノパフは100%ポリエステルの製品なのでポリエステル専用の染料を使用します。
箱の中身はこんな感じです。
染料と濃色促進剤というより色を濃く染めるための粉のような物が入っています。
お待ちかねの作業に入ります。まずは5ℓの水を90℃まで加熱しまして。
※使わなくなった鍋を使用。作業場所はキッチンです。
染料を投入。よく混ぜます。
ちなみに作業工程を自己流で若干変更しています。製品に分かりやすい説明書が入っていますのでポリエステル製品を染めてみようとお考えの方はそちらを参考に作業をしてみて下さい。
続いて濃色促進剤を投入。これまたよく混ぜます。
ナノパフを投入!
30分程漬け込みます。
途中90℃をキープするために火加減を絶妙に調整。ナノパフの上下をひっくり返しムラなく染め上がるよう努力しています。
冷まし
30分の染めの作業が終了したら「冷まし」の作業です。
ポリエステルは急激な温度変化に弱い素材です。一気に冷水で冷やして次の作業に進みたい所ですがここはグッと我慢。
1時間ほど放置し、自然に温度が下がるのを待ちました。
1時間放置後の温度は60℃。
ここで40℃のお湯に入れ替えてさらに30分放置。
30℃まで下がったところで次の工程に進みます。
ソーピング(洗い)
冷ましが終了したらお次は「ソーピング(洗い)」の作業です。余計な染料を洗い流す作業ですね。
台所用中性洗剤を適量投入し、押し洗いします。
洗いが終わればすすぎです。
ここでは泡と色が出なくなるまで徹底的にすすぎました。
ポンポン行きましょう。
洗濯機で脱水。
日陰で自然乾燥。
熱によりビックリするくらいシワになりましたのでアイロン。
タグと取っ手を付けまして、、。
はたしてうまく染まったかな?
良い感じ!
before
分かりづらいですね^^;
ここが一番分かりやすいでしょうか。
緑□がもともとタグがあった所です。
元の色と完全に同じ色になっていますよね。
before
気になるダメージは?
ふう。
中々に長時間に及ぶ骨の折れる作業だった訳ですが気になる超極細素材の「プリマロフト®」へのダメージはどうだったかと申しますと、、。
「そこまで極端にボリュームはなくなっていないかな。」
と言う所が正直な感想です。
保温力の方もあからさまに下がったといった印象はありません。
ただあくまで「極端」に減った感じがしないというだけで「若干」のボリューム低下は感じます。それにより少なからず保温力も低下しているでしょう。最初に申し上げた通り、やはり皆様にはオススメは出来ない作業ですね。
他に気になった変化としては全体の生地が硬くなってツッパったような感じの仕上がりになりました。ほんの少し縮んでいるのかな?着てみると染め前より窮屈に感じます。
最後に色落ちチェック
最後に大事な作業が残っていました。
何を隠そう私このナノパフをまだまだ着用するつもりでおりますので「色落ちチェック」をしっかりしておきましょう。
液温35℃、粉末の弱アルカリ洗剤使用と言う家庭洗濯では最強の洗いをかけ、ポケット部にタオルを投入。自然乾燥させ色落ちがないかをチェックします。
大丈夫そうですね!
綿製品は染め後も洗濯で色が出ることが多いのですがポリエステル製品は色の定着がしっかりしていることが多いですね。
ちなみに染め後に気になっていた衣類のツッパリ感はこの洗いの工程で不思議と消失しました。今は依然と変わらぬ着用感を取り戻しています。
まとめ
ということで今回は日々の着用で赤く変色&退色したパタゴニアのナノパフを自力で染めるという暴挙の様子をお送りしました。
やはり若干のダメージはありましたがまだまだ着れる状態の仕上がりに個人的には大変満足しています。
このナノパフって本当に使い勝手が良いんですよ。
ちょっと肌寒い時に羽織るアウターとしても使えますし、真冬でもインナーダウンのようにして使えます。おまけに胸ポケットにコンパクトに仕舞えて持ち運びもしやすいときている。冗談抜きで1年中使ってます。
今回良い感じに復活を遂げましたのでこれからも大活躍間違いなしです。
長い記事にお付き合いありがとうございます。
そんな長い記事をせっせと書いていた今日はクリスマスイブでございます。
この記事をリアルタイムで読んで下さっている方は世界中に1人もいらっしゃらないでしょうが1言。
メリークリスマス!