今回は前回の予告通り「トップクリアリキッド」を深掘りします。
ここ最近は「花王」、「P&G」の液体弱アルカリ洗剤について深掘りしてきたので今回はもう1つの有名どころ「LION」の液体弱アルカリ洗剤を深掘りしてみようというわけです。
果たしてどんな洗剤なのか?深掘り開始です。
効果・特徴
製品の説明と公式サイトから効果と特徴をまとめてみました。
①高皮脂洗浄成分+タンパク洗浄成分+ハイブリッドポリマー
=速攻パワー浸透により皮脂、たんぱく質、泥汚れを除去
②アクアフローラルの香り
③さらっとした液感
④消臭成分(ローズマリーエキス)
⑤蛍光増白剤無配合
⑥すすぎ1回OK
気になるのは①のハイブリッドポリマーなるもの。色々と調べてみたのですがどんな成分なのかまでは分かりませんでした。
公式サイトによるとハイブリッドポリマーは靴下などの泥汚れに効果があるとのこと。汚れ部分に洗剤の原液を直接塗布する「直付け」をするとより効果があるそうです。
次に注目したいのはやはり⑤の「蛍光増白剤無配合」な点。
蛍光増白剤入りの洗剤で生成りやパステルカラーなどの衣類は洗わない方がいいとされています。
蛍光増白剤の作用により淡い色の衣類が色あせて見えてしまう事がある為です。
その点この洗剤は蛍光増白剤無配合ですので安心して淡い色の衣類を洗う事が可能です。
1つの洗剤で洗える衣類の数が増えるのは忙しい方には嬉しい特徴ですね。
最近の洗剤でよく見られる、「抗菌」、「抗ウイルス」、「洗濯槽の防カビ」などの各種効果はサイトに書かれていないのでおそらく持ち合わせていないと思われます。(「クリアリキッド抗菌」は発売されています。)
複雑な機能はあえて省いた職人気質のシンプル洗剤と言った感じですかね。
洗えるもの・洗えないもの
効果・特徴が分かった所でどんな衣類が洗えて、また洗えないかを見ていきましょう。
用途、液性、成分+ピンクの□を詳しく見ていくと何が洗えて洗えないかが分かります。
液性
液性は弱アルカリ性。「時の経過により中性になる場合がありますが、品質に問題はありません。」の注意書き。つまりは限りなく中性に近い弱アルカリ性の洗剤ということになります。
中性に近い弱アルカリなのでバリバリの弱アルカリ洗剤よりも色落ちのリスクが少ない為、濃色の衣類も比較的安心して洗う事が出来る洗剤と言えます。すべての衣類が色落ちしない訳ではないので明らかに色落ちしそうなものは単独で洗うか色落ちテストをしてから洗った方がいいでしょう。
用途
綿、麻、合成繊維(化学繊維)と幅広い衣類が洗えます。ウールやシルクは洗えません。
成分
成分は界面活性剤、安定化剤、酵素と最近の洗剤にしてはとてもシンプルな成分構成。酵素は皮脂汚れやたんぱく質汚れに効果がある成分です。
ここで注目したいのはアルカリ剤が含まれていないこと。アルカリ剤は洗浄液をアルカリに傾けることで洗浄力を高めてくれる成分です。(衣類の汚れはアルカリの方が良く落ちる。)
アルカリ剤は汚れを落としやすくしてくれると同時に色落ちのリスクを高めてしまう成分なのでここからも濃色の衣類を洗いやすくしてくれているメーカー側からの配慮が感じられますね。
すでにご紹介しましたが蛍光増白剤無配合なので淡色の衣類が洗えることも大きなポイントです。
ピンク□
ピンク□内の洗濯表示がある衣類も洗わない方がいいようです。
まとめ
綿、麻、合成繊維と幅広い衣類が洗えるが
①明らかに色落ちしそうなもの(洗いたい場合は色落ちテスト)
②ウールやシルクなどの動物繊維
③「中性洗剤使用」表記のあるものと
下の洗濯表示があるもの
は洗わない。
蛍光増白剤、アルカリ剤を省くことにより濃色の衣類、淡色の衣類を安心して洗えるようにした守備範囲の広い普段使いに適した洗剤
私だったらこんなものを洗います
今までの知識をもとに私だったらこんなものを洗います。
①色々と汚れているであろうバスタオル
②ベージュ、水色など淡い色の衣類
③色落ちテスト済みの濃色衣類(皮脂、食べ物汚れ付き)
靴下、下着などを洗ってもいいですね。
洗浄力
最後に気になる洗浄力を検証。
ファンデーションは油汚れ=「皮脂」
卵はたんぱく汚れ=「食べ物」
カレーは色素汚れ
を想定して洗浄力を検証していきます。
洗浄力は各ご家庭によって条件が異なるのであくまで参考程度にお考え下さい。今回は個人的な興味で何もせず洗濯機に衣類をぶち込んでいますが、クリーニング屋の倅としては事前にある程度シミの除去をしてからの洗濯をおススメします。
ご紹介した通り、色落ちのリスクを減らすためにあえて洗浄力を高めてくれるアルカリ剤を省いているこの洗剤。果たして洗浄力に大きな違いが出るのでしょうか?
before
すばらしい。
カレーの色素は残っているものの油とたんぱく質汚れはほぼ除去出来ています。
この洗浄力なら普段使いの衣類の汚れ程度なら問題なく落としてくれると思います。
カレーの色素はアルカリ剤が配合されている洗剤でも写真と同じくらい残るのでアルカリ剤なしでもアルカリ剤有りと同等の洗浄力を有していると言っていいでしょう。
成分の界面活性剤と酵素、最初に気になったハイブリッドポリマーがしっかりとアルカリ剤の不足分をカバーしてくれているということですね。
アルカリ剤、蛍光増白剤を省くことによりより多くの衣類を洗えるようにしながらも洗浄力はしっかりキープしてくる技術力。お見事です。
いかがだったでしょうか。前回、前々回とご紹介した「花王」のアタック3X、「P&G」のアリエールは抗菌、抗ウイルス、洗濯槽の防カビなど時代のニーズを捉えた様々な機能が付与されていましたね。
アルカリ剤、蛍光増白剤を成分に加えることにより洗浄力を高め、衣類をより白く見せてくれる工夫もされていました。それにより濃色の衣類や淡色の衣類を洗うのには注意が必要な洗剤でもありました。
一方、今回ご紹介したトップクリアリキッドは抗菌、抗ウィルス、防カビなどの複雑な機能は持たず、アルカリ剤、蛍光増白剤を省くことで濃色、淡色の衣類を安心して洗えるようにしたいわば引き算のシンプル洗剤。
シンプルでも洗浄力はバッチリの職人気質的な洗剤でした。
こうやって各メーカの洗剤を比較してみるとそれぞれのメーカーの理念というかコンセプトが感じられて中々面白いですね。
みなさんだったら3つのうちどの洗剤を選ぶでしょうか。
ちなみに私はガッツリ職人気質なのと洗剤で意外と大事な匂いが好みなのでトップクリアリキッドに一票です。