おしゃれ着用中性洗剤

エマールとの違いは?アクロンって結局どんな洗剤なの?

連投となります深掘りシリーズ。今回は前回ご紹介のエマールと同じ【おしゃれ着用中性洗剤】のアクロンを深掘りします。

こちらもCMなどでよく目にしますが「使い方」から結局「何が洗えるか?」など多くのギモンがある洗剤ではないでしょうか。

「エマールと何が違うの?」が気になっている方もきっと多いはずです。

ということでギモンだらけの洗剤、アクロンの深掘りスタートです。

今回の記事は洗濯表示の基本がある程度分かっていると内容がスムーズに入ってくると思います。

「曖昧だなあ。」という方は最初の方の「洗い方」の洗濯表示を頭に入れるだけで大丈夫なので下の記事をまずは読んで頂いてから本文を読んでみて下さい。

【旧との比較あり】新洗濯表示の意味&簡単な読み方 平成28年に新しくなった洗濯表示。日本語が消えて記号だけの表示に変わったので未だにその読み方に戸惑っている方も多いのではないでし...

アクロンは”デリケートな衣類”が洗える洗剤

「アクロンってどんな洗剤?」いまいちピンと来ていない方も多いと思います。

ずばり、アクロンは『”デリケートな衣類”が洗える洗剤』です。

”デリケートな衣類”とは何でしょうか?

ニット、ブラウス、スカートなど普段の洗濯ではダメージを受けてしまうような繊細な素材が使われた衣類と考えると分かりやすいのではないでしょうか。

タオルを洗うようにガシャガシャ洗えない衣類を優しく洗いたい時に活躍してくれる洗剤がアクロンという訳です。

洗えるもの・洗えないもの

まだ、いまいちピンとこないでしょうか。ここでおそらく合点いって頂けると思います。

緑□の[用途]にご注目下さい。[用途]とは私たちにどんな繊維の衣類を洗えるか教えてくれる項目です。

毛(ウール)・絹(シルク)・綿・麻・合成繊維の洗濯用とありますね。

そう、アクロンは『ウール・シルクなどの”デリケートな衣類”の洗濯が出来る洗剤』です。

ピンク□にも注目してみましょう。

写真の洗濯表示のついた衣類はアクロンでは洗えません。

意味は「家庭での洗濯禁止。」ですから当然ですね。

まとめ

アクロンは

毛(ウール)・絹(シルク)・綿・麻・合成繊維が洗える

 

②下の洗濯表示の衣類は洗えない

 

少しづつモヤが晴れてきましたね。

なぜウール・シルクが洗えるのか?

『アクロンはウール、シルクなどのデリケートな衣類が洗える洗剤』と言う事が分かりました。

なぜ他の多くの洗剤では洗えないウール・シルクをアクロンは洗う事が出来るのでしょうか。

その謎はアクロンの[液性]、[成分]を見ることで解き明かすことが可能です。

液性

 

アクロンの液性は中性です。この「中性」であることがウール・シルクを安心して洗える理由の1つです。

なぜでしょうか。

洗濯洗剤には大きく分けて「弱アルカリ性」「中性」の2種類の洗剤があるのですが、ウール・シルクなどのタンパク質が主成分の繊維はアルカリ性に弱いという特徴があるのです。「弱アルカリ性」の洗剤はウール・シルクにダメージを与えちゃうんですね。

一方、「中性」はウール・シルクにダメージを与えません。

成分

お次は成分を見ていきましょう。

界面活性剤、安定化剤、柔軟化剤(柔軟剤)と極めてシンプルな成分構成となっています。

同じLIONの部屋干しトップ除菌EXの[成分]です。

アクロンがいかにシンプルな成分構成かお分かり頂けると思います。

部屋干しトップはアルカリ剤、漂白剤などのパンチ力の強い成分を加えることにより洗浄力を極限まで高めた、いわば超攻撃型の洗剤です。

汚れをすこぶる良く落としてくれるのですが攻撃力が高すぎるのが玉に傷。汚れだけではなくウール・シルクにまでダメージを与えてしまう洗剤です。つまり部屋干しトップではウール・シルクは洗えません。

一方、アクロンはパンチ力の高い成分を省き、攻撃力を極限まで下げているので、ウール・シルクにダメージを与えることなく洗濯をすることが可能です。成分構成が優しいのでウール・シルクが洗えるんですね。ただし部屋干しトップに比べ洗浄力はかなり低めです。

衣類への優しさを第一に考えた結果、洗浄力を犠牲にした洗剤がアクロンという訳です。

まとめ

アクロンは「中性」で優しい成分構成の為、ウール・シルクを洗う事が出来る。ただし洗浄力は低め。

エマールとの違いは?

気になっている方も多いと思います。

同じ、【おしゃれ着用中性洗剤】のエマールとアクロンの違いは何でしょうか?

製品裏面の[成分]を見てやると答えが分かります。

界面活性剤、安定化剤は両者共通の成分でエマールにはPH調整剤と酵素が、アクロンには柔軟化剤(柔軟剤)がそれぞれ配合されているのが分かります。

注目すべき点はアクロンには「柔軟剤」が含まれていてエマールにはない点でしょう。

繰り返しになりますがエマール、アクロンは共に「ウール・シルクなどの”デリケートな衣類”が洗える洗剤」です。

おそらくご家庭で使う場合はウールのセータを洗うパターンが一番多いと思います。

アクロンはそれを見越してあらかじめ成分に柔軟剤を添加しているんですね。ご存じ柔軟剤はウールのセーターをフンワリ仕上げてくれる効果があります。静電気防止効果もありますね。

柔軟剤を含んでいないエマールは洗濯の度に柔軟剤を自ら洗濯機にセットしなければなりません。

ご自宅でウールのセーターを良く洗う方はエマールよりアクロンを使ったほうが余計な手間が省けていいですね。

「エマールも柔軟剤入れちゃえばいいのに。」という声が聞こえて来そうですが柔軟剤を含まない事にも実はメリットがあります。

①自分の好きな柔軟剤が投入できる。

②吸水性がUPする。(柔軟剤は吸水性を低下させる)

③ゴアテックスが洗える。(ゴアテックスは柔軟剤が入っていない洗剤の使用を推奨)

などでしょうか。

そもそも柔軟剤が苦手な人にも無配合はメリットになりますよね。

③はかなり個人的なメリットなのですがゴアテックスの衣類を頻繁に洗う私にはかなり大切なポイントです^^;

アクロンの「使い方」

お次はアクロンの「使い方」についてのご紹介です。

これにギモンを持っている方も多いのではないでしょうか。

「洗い方」が大事

今まで見てきたように、アクロンは『ウール、シルクなどの”デリケートな衣類”が洗える洗剤』です。

例えばお持ちのウールのセーターを洗いたいと考えた時、今の皆様なら

「アクロンを使おう!」

こう思えるはずです。

ではアクロンで洗おうと決意したそのウールのセータをどうやって洗えばいいのでしょうか?

洗濯機の普通コースでガシャガシャ洗っていいのでしょうか?

答えはお持ちの衣類の洗濯表示にあります。

例えば洗いたいウール100%のセーターが

こんな洗濯表示だった場合。

赤丸の洗濯表示の意味は「液温は30℃を限度とし、洗濯機で非常に弱い洗濯ができる。」ですのでアクロンを使い、洗濯機の手洗いコース(ドライコース)などの優しいコースで洗うと良いでしょう。

ウールは洗濯機の普通コースでガシャガシャ洗ったり、揉み洗いをしたりすると縮んだり、硬くなったりしてしまう素材です。洗濯の際は特に気を付けて優しく洗ってあげることを意識してください。

【ギモン】ウールはなぜ縮むのか?頑張って分かりやすく説明します「ウールをTシャツと一緒に洗ったらメチャクチャ縮んじゃった^^;」 こんな経験をされた事がある方、多いかもしれません。 同時...

こんな場合はどうでしょう?

ウルトラライトダウンの洗濯表示です。

ダウンもウール・シルク同様デリケートな素材ですのでここでもアクロンを使うという選択肢が第一に上がります。

表示の意味は「液温は40℃を限度とし、手洗いができる。」ですので実際に洗濯桶を使い優しく「手洗い」をしてやればいい訳ですね。

繰り返しになりますがアクロンは『ウール、シルクなどのデリケートな衣類が洗える洗剤』です。

いくらデリケートな衣類が洗えるからといって[ウール→アクロン→洗濯機にポンで普通コースで洗い]といった思考は危険です。

落ち着いて洗濯表示を確認し、必ずその指示に従うようにしてください。そもそも”デリケートな衣類”を洗おうとしているのでその表示はほぼ100%で「優しく洗ってね」を指示しているはずです。

『アクロンは「優しい洗い」とセットで使う。』

”デリケートな衣類”を洗う時は使う洗剤だけでなく洗い方も大事なんです。

私だったらこんなものを洗います

アクロンの謎、大方解けてきたのではないでしょうか。ここまでくるとお持ちの実際の衣類の何をどのように洗うか気になってきますよね。

私だったらアクロンを使って写真のような衣類を洗います。

《①ウール100%のセーター》

意味:「液温は40℃を限度とし、洗濯機で弱い洗濯が出来る。

→手洗いコース(ドライコース)で洗濯

《②アクリル55%・綿45%のカーディガン》

意味:「液温は30℃を限度とし、洗濯機で非常に弱い洗濯が出来る。

→手洗いコース(ドライコース)で洗濯

《③綿100%のセーター》

意味:「液温は40℃を限度とし、手洗いができる。

→手洗い

少し「?」な感じでしょうか。どんな基準でアクロンを使うかを判断したのかが分かりづらいですよね。

私の場合は「素材」「作り」、「色」が”デリケート”だったらアクロンを使います。

①のウールはデリケートな「素材」なのでアクロンを使います。②、③は素材的にはデリケートではないですがザックリと編んだ型崩れしやすそうな「作り」なのでアクロンを使って優しく洗ってやりたいという訳です。③は「作り」に加えて濃色」なので色落ちを起きにくくする為にもエマールを使用しています。アクロンは普段使いの洗剤に比べて色落ちのリスクも少ないです。

「素材」「作り」「色」から総合的に判断してアクロンを使うと決断→洗濯表示に従って洗うといった流れです。

慣れないうちはここの所の判断が難しいかもしれません。”デリケート”の基準って分りにくいですもんね。

最初のうちは「洗濯表示が弱い洗いを指示→アクロンを使って弱い洗い」パターンでも良いと思います。そのうち衣類を見ただけで「これはアクロンだな。」と分かるようになります。

洗浄力(エマールとの比較あり)

最後は気になる方も多いはず。アクロンの洗浄力を見て行きましょう。

ファンデーションは油汚れ=「皮脂」

卵はタンパク汚れ=「食べ物」

カレーは色素汚れ

を想定しています。

覚えていらっしゃるでしょうか?アクロンは衣類への優しさを第一に考えた結果、洗浄力を犠牲にした洗剤です。

はたしてどの程度の洗浄力なのかな?

30℃のぬるま湯にアクロンを規定量投入し手洗いコース(ドライコース)で洗濯しました。

先ほども書きましたがアクロンは優しい洗いとセットで使うのが基本です。普通コースではなくあえて手洗いコースで洗っています。

果たして結果は?

はい!全然落ちてません!

でもこれでいいんです。むしろこうでなくてはいけないんです。

手洗いコースで洗っていますし、これくらい洗浄力が低くないと”デリケートな衣類”は怖くて洗えないんですね。

同じ条件で洗ったエマールの写真です。エマールもいい感じで洗浄力「低」ですね!

アクロンで洗う時は必ず前処理

アクロンの洗浄力、良くお分かり頂けたと思います。

ご覧頂いた通りの洗浄力ですから1日着用してエリに付いたファンデーションや、ついうっかり食べ物汚れなどは何もせず洗濯機にポンではほぼ100%落ちません。

汚れた衣類をアクロンで洗う時は汚れを前もって落としておく「前処理」が必須です。

「前処理」は写真のように台所用中性洗剤かクレンジングオイルをシミ部分に塗りつけて歯ブラシで叩いてやる方法が良く落ちるのでオススメです。

*色落ちの可能性が0ではありません。心配な場合は色落ちテストをしてからの作業をオススメします。

>色落ちテストの仕方はこちら

[まとめ]とりあえずウールのセータを洗ってみよう!

長い時間お付き合いありがとうございました。少し情報が多過ぎたでしょうか^^;

しかしながらアクロンは理屈を理解し、うまく使えるようになると洗濯の幅を大きく広げてくれる大変便利な洗剤です。

今まで自宅では洗えないと思っていた衣類が洗えちゃうんです。うまく使わない手はないですよね。

まずは一番大事な

『アクロンは優しい成分構成なのでウール・シルクなどのデリケートな衣類が洗える洗剤。』

『アクロンは優しい洗いとセットで使う。』

を頭に入れて頂き、初めの1歩としてお持ちのウールのセーターを実際に洗ってみてはいかがでしょうか?

実際に使っているうちにボンヤリとその本質が見えてくるはずです。

「干し方とか分かんないよ!」

ご安心を。

ウールのセーターの手洗いの仕方、洗濯機での洗い方を私、以前記事にしております。

そちらを参考に是非、アクロンを使った「一歩先行くお洗濯」をお楽しみください。

クリーニング代も浮きますよ~。(笑)

洗濯屋直伝!ウールの自宅での洗い方【手洗い編】「洗えるウール」なんてキャッチフレーズを耳にすることも増えた昨今。 ウールの自宅洗いに興味のある方も多いのではないでしょうか。 ...
洗濯屋直伝!ウールの自宅での洗い方【洗濯機編】ウールの自宅での洗い方【洗濯機編】です。 個人的にはウールのセーターはやはり「手洗い」がオススメなのですが、こいつが中々もって面倒...