出典:Spiber
「人工的に作ったクモの糸を使った服が発売される。」
先日、こんなニュースを耳にしました。
人工的にクモの糸が作れるなんてすごい事ですがクリーニング屋としては「どんな洗い方をするのかな?」「シミ抜きは出来るのかな?」なんてことがついつい気になってしまいました^^;
これからクモの糸繊維が世の中に急速に広まりクリーニング店にそれを使った衣類が大量に持ち込まれるかもしれない!
と言う事で今回はそんな時に余裕をもって対応できるよう、クモの糸繊維についてちょっとお勉強です。
日本の会社が「最強素材」のクモの糸を人工的に作り出すことに成功!
出典:Spiber
私達の生活に身近なクモの巣。気づけばあちらこちらに張られていますよね。
実はこのクモの糸、重さあたりの強靭性が鋼鉄の340倍、炭素繊維の15倍、高い伸縮性があり、熱にも強い。とかなりの高スペックで、地球上で最強の素材なのでは?と言われているとか。
この最強素材を人工的に作り出し、量産化する。
かつてはNASAや米軍も試みたが成功しなかったミッションを実現しようとしている会社が日本にあります。
山形県鶴岡市に本社を置くSpiber(スパイバー)という会社です。
スパイバーはすでに人工クモの糸繊維の開発に成功しており、量産化に向けた体制も整っているんだとか。
人口クモの糸繊維「QMONOS®」(クモノス)
出典:Spiber
そのスパイバーが開発したのが人工クモの糸繊維「QMONOS®」(クモノス)
上の写真はノースフェイスから今年(2019年)11月に発売が予定されているMOON PARKAという製品のプロトタイプでこれに「QMONOS®」が使われています。
ノースフェイスのANTARCTICA PARKAをベースにしているらしいのでおそらく中にはダウンが使われているのかな?過酷な環境でバッチリ活躍してくれそうですね!
私はバリバリの文系なのでかなり大雑破な説明になりますがクモの糸の主成分はタンパク質。
私達の髪の毛や筋肉、血液など身体の大部分を構成する物質です。
このクモの糸のタンパク質を微生物の力を借りて人工的に合成し繊維にしたものが「QMONOS®」なんだそう。
タンパク質を人工的に作り出すなんて想像しずらいですがとにかく驚きの技術です。
人工タンパク質の可能性
出典:Spiber
クモの糸を人工的に作り出したスパイバー。クモの糸を再現しただけでもすごい事なのですが、この人工的にタンパク質を合成するという技術、想像以上の可能性を秘めています。
1つは他のタンパク質を再現することも可能であること。例えばカシミヤを人工的に作り出す事も可能で実際にスパイバーが開発に成功しています。
最近はアパレル業界でも動物愛護の気運が高まっていますので業界からの期待は熱いものがあるようです。
そのうち人工ダウン、人工牛革、人工ファーなんてものも出てくるかもしれません。
アパレル業界にとどまらず、医療の世界でも手術用の縫合糸や人工血管への応用が期待されていたりもするんだとか。私達の身体と同じタンパク質で出来ているので拒絶反応とかが少なそうですよね。
もう1つの可能性は環境に優しいということ。
人工タンパク質はいつか枯渇する石油に頼る必要がなく製造可能&生分解性があるので再資源化が可能なのだそう。
生産時のエネルギー消費も石油製品より少なくてすみ、温室効果ガスの排出量が少ない。
と私達が今現在、直面している問題を解決してくれる可能性を秘めているんですね。
石油に取って代わり、人工タンパク質が当たり前のように私達の生活の中にある時代がすぐにでもやってくるかもしれませんね!
ということで今回は人工クモの糸繊維「QMONOS®」から話は広がり人工タンパク質の可能性についてまで書きました。
クリーニング屋のごく単純な疑問から始まり、「QMONOS®」丈夫ですごいね!程度で終わると思っていた記事も想像以上にスケールの大きな世界の話になってしまいました^^;
知識不足と文章力の低さから人工タンパク質のすごさをこのブログではあまりうまく伝えられていないと思いますので興味のある方はスパイバーの公式サイトを是非ご覧になってみて下さい。
クモの糸を再現する事だけにとどまらず、さらにその先の、世の中をもっと良くするという信念が伝わってくる会社で私もすっかりファンになってしまいました(^^)
世界の未来への鍵は人工タンパク質が握っているのかもしれません。